「薬剤師って、在宅勤務できる仕事あるの?」
そう感じている方、実は多いのではないでしょうか。
私自身、もともとは調剤薬局で働く薬剤師でした。
子育てとの両立や柔軟な働き方を求めて転職活動を始めたとき、
“薬剤師=対面業務”というイメージが強く、在宅勤務できる仕事はほとんどないと思っていました。
ところが実際に求人を探してみると、製薬企業・医療広告代理店・医療IT企業など、
薬剤師資格を活かしながらリモート勤務できる職種が想像以上に多いことに驚きました。
現在は医療広告代理店でライター・プランナーとして働きながら、
在宅中心で医療情報を発信する仕事をしています。
この記事では、私自身の転職経験と、実際に求人を調べた知見をもとに、
正社員として在宅勤務が可能な10職種を、仕事内容・年収・メリット・デメリットまで詳しく紹介します。

仕事内容に加えて業界ごとの在宅のしやすさや、大体の年収相場もまとめてみたよ!
医療広告代理店のライター・プランナー職
仕事内容
製薬企業の資材資材や販促支援を担う、医療用医薬品専門の広告代理店で資材制作を行う仕事です。
多くの医療広告代理店では、ライター・プランナー・ディレクターがチームを組み、新薬プロジェクトの初期から上市後までを支えます。
クライアントや社内の打合せなども基本オンラインで、在宅で完結できる業務が多く、リモートワーク比率が非常に高い職種です。
- 新薬上市時のコア資材(製品概要、RMP資材など)の作成
- 医療従事者向けの資料・Web記事の作成
- 社内デザイナーとの連携、法規チェックなど
年収相場
450〜750万円

未経験でも薬剤師資格・医療知識を評価されやすく、薬局からの転職であれば550万円前後での採用例も多いよ
メリット
- 医療知識と文章力の両方を活かせる
- 在宅勤務率が高く、柔軟な働き方が可能
- 新薬上市など“医療の最前線”に関わる実感が得られる
デメリット
- 修正対応が多く、新薬上市時などは納期がタイト
- 医薬品広告・薬機法・PMDA関連など、法規知識の習得が必須
- クリエイティブ+科学の両立に慣れるまで時間がかかる
向いてる人
- 薬剤師としての専門知識を“わかりやすく伝える”ことに興味がある
- 細かい表現チェックや資料構成を緻密に進めるのが得意
- 納期に対して責任感をもって粘り強く対応できる
製薬企業のDI職(医薬情報担当)
仕事内容
医療従事者やMRからの問い合わせに対応し、正確な医薬品情報を提供します。
多くはCROやCSOに所属し、製薬企業のDI部門を代行する形で業務を行います。
問い合わせ内容は副作用、併用禁忌、適応外使用など多岐にわたり、文献調査やFAQ更新を通じて、常に最新情報に触れる環境です。
コールセンター型や在宅対応型など勤務形態もさまざまで、リモート勤務が標準化しています。
- 問い合わせ対応(電話・メール)
- 添付文書・論文確認、FAQ管理
- 社内教育・情報共有
年収相場
450〜700万円
メリット
- 薬剤師としての基礎知識をそのまま活かせる
- 安定した勤務体系で長期就業がしやすい
- 製薬業界でのキャリアステップの第一歩になりやすい
デメリット
- ルーチン業務中心で変化が少ない
- シフト制勤務や対応件数のノルマがある企業も
- 最新情報のインプットを続ける必要がある
向いてる人
- 正確さを大切にし、丁寧に情報を扱える人
- 対人応答や説明が得意な人
- コツコツ勉強し続けられる人
学術・MA職(Medical Affairs)
仕事内容
製薬企業で、社内外に対して科学的な医薬品情報を正確に発信・教育する仕事です。
MR研修用資料の作成、学会での発表支援、講演会の学術サポート、添付文書改訂など、医薬品の価値を科学的エビデンスで支える重要な役割を担います。
企業によってはMA(メディカルアフェアーズ)として医師とのアカデミックなディスカッションも担当し、週2〜3日在宅のハイブリッド勤務が一般的です。
- MR研修資料・学会スライド作成
- 添付文書改訂、講演会サポート
- 社内レビュー・監修対応
年収相場
500〜850万円

現在多くの製薬企業で「MRからMAへ」という動きが拡大中!要するに、好条件を狙うなら今が狙い目!
メリット
- 医学的知識を深められ、学術的成長が大きい
- 製薬企業での安定した地位とキャリアパス
- 医師や専門家との関わりが多く刺激的
デメリット
- 英語文献読解力が求められる
- 出張や会議対応が発生する場合がある
- 責任範囲が広く、プレッシャーが大きい
向いてる人
- 医学・薬学の知識を掘り下げたい人
- 発表・教育・伝達が好きな人
- 継続的な学習を苦にしない人
メディカルライティング職(CRO・製薬系)
仕事内容
治験や承認申請に関わる公式文書(治験総括報告書、CTD、IBなど)を作成する仕事です。
CRO(開発受託機関)や製薬企業の開発部門に所属し、
治験データや臨床結果をもとにPMDA提出用文書を正確にまとめます。
リモートワークとの相性が非常に良く、完全在宅勤務の求人も多い職種です。
- CSR(治験総括報告書)作成
- プロトコル・CTDドラフト作成
- IB改訂、論文ドラフト
年収相場
550〜900万円

経験者採用の提示年収が非常に高い職種。未経験者採用の会社で経験を積み、再度転職することでかなりの年収アップを狙える!
メリット
- 高度な専門職で報酬水準が高い
- 完全在宅OKの求人が多い
- 製薬開発の最前線に関われる
デメリット
- 専門的スキル習得に時間がかかる
- 修正やレビューが多く、細かい作業が続く
- 進捗管理・納期プレッシャーが強い
向いてる人
- 英語とライティングに抵抗がない人
- 正確性・緻密さを重視できる人
- 一人でコツコツ作業するのが好きな人
医療IT・ヘルステック
仕事内容
医療・薬局・病院向けのクラウドシステムを提供するIT企業で、
カスタマーサクセス・QA・企画職として導入支援や品質改善を行う仕事です。
顧客(薬局・医療機関)とのオンライン打合せや、システムの改善提案、
薬機法・個人情報保護法に準拠した仕様確認など、薬剤師の現場知識が活きます。
医療DX推進に伴い、正社員でもフルリモート勤務が増えています。
年収相場
450〜800万円

ベンチャー企業も多く、求人によって年収にかなり幅がある印象。ストックオプションのある会社もあったよ!
メリット
- 成長産業で将来性が高く、スキルの汎用性が高い
- フルリモート勤務も多い
- 医療×ITという新しいキャリア分野
デメリット
- ITスキル•ツール理解が必須
- 顧客対応やトラブル対応で柔軟性が求められる
- プロジェクト進行が早く、変化が多い
向いてる人
- 医療現場の課題を改善したい人
- テクノロジーや新しい仕組みに興味がある人
- チーム連携や説明が得意な人
医療メディア・出版社の編集・企画職
仕事内容
医療従事者や一般向けメディアで、記事企画・取材・編集を行う仕事です。
学会取材や専門家インタビュー、原稿の校正・校閲、SEO記事構成の作成など、「医療情報を正しく伝える」ことが中心業務。
Webメディア系の求人ではリモートワークが一般的、出版社系の求人は週2〜3日在宅のハイブリッド勤務が多い印象。
年収相場
400〜700万円
メリット
- 医療の最新トピックに常に触れられる
- 情報発信により社会貢献できる
- 文章力・編集力・構成力が磨かれる
デメリット
- 校正・進行管理など地味な作業も多い
- 締切前は残業になりやすい
- 給与水準は代理店よりやや低め
向いてる人
- 医療を伝える・広めることに興味がある人
- 言葉や文章表現にこだわりがある人
- スケジュール管理が得意な人
医療教育・eラーニング制作
仕事内容
MR・薬剤師・医療従事者向けの教育教材を制作する仕事です。
eラーニング動画やスライド資料、社内研修プログラムの設計など、医療教育の質を高めるコンテンツを企画・監修します。
在宅制作が中心で、PowerPointや動画編集ツールを使って進行します。
- eラーニング原稿・動画構成作成
- 医療教育スライド監修
- 教育イベントの設計
年収相場
450〜800万円
メリット
- 教えること・伝えることが好きな人に最適
- 教材制作を通じて医療業界全体に貢献できる
- 在宅で完結する案件が多い
デメリット
- 繁忙期の納期対応が大変
- 教材フォーマットや法規制への理解が必要
- 修正回数が多いプロジェクトもある
向いてる人
- プレゼンや資料作成が得意な人
- 学びを伝えるのが好きな人
- 細かいルールを守りながら形にするのが得意な人
医療翻訳・メディカルトランスレーター職
仕事内容
論文、治験関連文書、添付文書などを英⇄日で翻訳する専門職です。
CROや翻訳会社に所属する正社員もおり、完全在宅で作業できることの多い職業です。
翻訳対象は治験報告書や学会抄録、製品資料、薬機法関連文書などで、医療用語・臨床試験用語の理解力と英語力が問われます。
年収相場
450〜800万円

外注している会社も多く、未経験での正社員採用は限定的な印象。英語に自信のある方は副業から始めてみるのもおすすめです!
メリット
- 完全在宅で自分のペースで働ける
- 医療×英語の専門性を活かせる
- 翻訳スキルが他分野でも応用できる
デメリット
- 専門用語や文体ルールの習得に時間がかかる
- 校正や二次チェック工程が多い
- 高い英語スキルが必須
向いてる人
- 英語・文献読解が得意な人
- 精密な作業に集中できる人
- 独立志向やスキル重視の人
OTC・ヘルスケアメーカーのマーケティング職
仕事内容
OTC医薬品やサプリメント、化粧品などの商品企画・販促・開発支援を行う職種です。
薬剤師資格を活かして薬機法チェックや製品監修に関わることもあります。
市場調査や広告戦略、SNS施策、プロモーション企画など業務範囲は広く、自社ブランドの成長を支えるポジションです。
- 商品コンセプト設計・パッケージ監修
- 薬機法確認・広告表現審査
- Web広告やSNS施策の立案
年収相場
500〜850万円
メリット
- 自社製品の開発に携われるやりがいがある
- 医療の専門性と消費者視点の両方を学べる
- 企画力・発信力が身につく
デメリット
- この記事で紹介している色の中ではリモート比率は低め
- 医療よりマーケ寄りのスキルが必要
- 医療現場から離れるため知識維持が必要
医療コンサルティング・リサーチ職
仕事内容
製薬企業・医療機器メーカー・調剤チェーンなどに対し、市場調査・データ分析・戦略立案を行う職種です。
医療データを基に課題を抽出し、経営・販促・製品戦略をサポートします。
プレゼン資料作成やリサーチ報告書作成など、在宅でも対応可能な業務が多いのが特徴です。
- 医療データ分析・レポート作成
- 製品戦略の立案支援
- プレゼン資料作成・クライアント対応
年収相場
550〜900万円
メリット
- 医療×ビジネスの新しいスキルが身につく
- 成果が給与に反映されやすい
- コンサル・データ職は今後も需要が高い
デメリット
- 納期・顧客対応プレッシャーが強い
- Excel・PowerPoint・統計スキルが必要
- 医療現場から離れる実感が出やすい
向いてる人
- 分析や資料作成が得意な人
- 論理的に考えるのが好きな人
- 客観的な視点で医療を支えたい人
まとめ:薬剤師が正社員で在宅勤務できる10職種
| No | 職種 | 在宅率 | 年収目安 | 特徴 |
| 1 | 医療広告代理店ライター | ★★★★★ | 500〜750万 | 医療×文章 |
| 2 | 製薬企業DI職 | ★★★★☆ | 450〜700万 | 問合せ対応 |
| 3 | 学術/MA職 | ★★★☆☆ | 500〜850万 | 教育・発信 |
| 4 | メディカルライティング | ★★★★★ | 550〜900万 | 完全在宅可 |
| 5 | 医療IT/ヘルステック | ★★★★☆ | 450〜800万 | 成長産業 |
| 6 | 医療メディア編集 | ★★★☆☆ | 400〜700万 | 医療×編集 |
| 7 | 医療教育/eラーニング | ★★★★☆ | 450〜800万 | 教材制作 |
| 8 | 医療翻訳 | ★★★★★ | 450〜800万 | 英語×医療 |
| 9 | OTC/ヘルスケアマーケ | ★★★☆☆ | 500〜850万 | 企画・商品開発 |
| 10 | 医療コンサル/リサーチ | ★★★☆☆ | 550〜900万 | データ分析・提案 |
おわりに
どうだったでしょうか、気になる仕事は見つかりましたか?
薬剤師のキャリアは、調剤室の外にも広がっています。
「在宅勤務できる仕事」は特別なものではなく、 医療知識をどう活かすかでたくさんの可能性・選択肢があります。自分の得意なスキル軸(例:書く・話す・分析する・教える)を意識して、
あなたにぴったりの在宅キャリアが見つけてください。


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